防災リュックはどこに置く?玄関だけは危険?住居別の置き場所を解説
防災リュックは「正しい場所」に保管しなければ、非常時に持って逃げだせません。
大規模な災害が発生した場合、家具の倒壊や停電で家の中は一変します。押し入れの奥にしまったリュックを取り出す余裕はありません。
さらに、玄関だけでの保管はリスクがあります。倒壊や浸水など、状況によっては玄関までたどり着けない可能性があるためです。
本記事では、一軒家・マンション別の適切な置き場所と収納アイデア、絶対NGな場所まで解説します。防災リュックを「備蓄品」ではなく、「使える防災用品」として保管できれば、あなたと家族を守る備えにつながります。
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防災リュックの置き場所は「玄関」が基本

防災リュックの基本の置き場所は玄関ですが、1箇所だけで安心するのは禁物です。住まいの構造や災害の種類によっては、玄関一か所では対応しきれない可能性があるためです。
次項では、防災リュックの置き場として玄関を推奨する理由と、玄関以外の置き場を紹介します。
なぜ玄関が推奨されるのか?「避難動線」から考える理由
防災リュックを玄関に置く最大の理由は、避難の際に誰もが通る避難動線なためです。
火災や地震が発生したとき、避難では必ず玄関を通ります。靴を履くその場所にリュックがあれば、慌てていても自然に手が届き、そのままスムーズに脱出できます。
また、「外出先から帰宅直後に被災したとき」「家族の安否確認のために一度外へ出るとき」など、玄関は人の動きの起点として機能します。避難動線にリュックがあれば、部屋の中へ取りに戻る時間がかからず、被災時のリスク(転倒や家具の倒壊など)を抑えられるでしょう。。
「もし玄関が潰れたら?」リスクを想定して備える重要性
玄関のみに防災リュックを配置するだけでは不十分です。建物の傾きにより、「玄関が開かない」「家具が倒壊して玄関にたどり着けない」などのリスクもあります。
避難時に玄関が利用できない状況も想定して、複数世帯の場合は防災リュックを分散配置しましょう。
分散配置の場所
- メインの防災リュック:玄関
- サブの防災リュック :寝室の枕元、リビング/ダイニングの入り口付近
玄関以外にも防災リュックを配置しておくと、就寝中に被災しても枕元の装備で身を守りつつ、窓からの脱出や救助を待てます。逃げ道が塞がれる可能性を考慮して、防災リュックは複数箇所に備えておきましょう。
防災リュックはどこに置く?置き場所の基本原則3つ

「人数分の防災リュックは収納が難しい」「玄関に置くと圧迫感がある」など、実際は世帯人数や自宅の状況によって、置き場所を選べないケースもあります。
次項では、防災リュックを置く場所の基本原則3つを解説するので、これらに則って自宅にマッチする置き場所を見つけてみましょう。
基本原則① 家族の誰もがすぐ取り出せる
防災リュックは、誰でもすぐ取り出せる場所になければ、非常時に有効活用できません。
すぐ取り出せる場所に置く理由
- どこに防災リュックが置いてあるか、家族全員が把握しやすい
- 災害発生直後、混乱した状況でも持ち出しやすい
- 持ち出す際の時間が短縮され、災害の被害に遭うリスクを下げられる
クローゼットやパントリーなど、収納スペースの奥に防災リュックを置いた場合、取り出しに時間がかかります。「大規模地震の発生」「津波警報の発令」など、緊急性の高い避難においては、持ち出せないかもしれません。
そのため、家族の誰もが見つけやすく、持ち出しやすい目立つ場所(玄関、寝室のベッド脇など)に防災リュックを置いて備えましょう。
基本原則② 高い場所に置かない
防災リュックは低い場所に置いて、安全かつ速やかに取り出せるよう備えてください。
高い場所に置かない理由
- 地震発生時、リュックが転落して中身が破損するリスクがある
- 踏み台などを使う場合、足場が悪く転倒するリスクがある
- 非常時にすぐ取り出せない
たとえば、収納ラックの最上段、天井付近のデッドスペースなど、高い位置に防災リュックを置いた場合、大きな地震でリュックが転落するかもしれません。中には水や食料品など、破損により液漏れする防災用品も入っているため、高い場所は避けてください。
また、他の収納物と一緒に転落した場合、防災リュックを速やかに取り出せない恐れもあります。
防災リュックは、手の届く低い位置に保管して、非常時でもすぐに持ち出せるよう備えましょう。
基本原則③ 一箇所にまとめない
防災リュックを一箇所にまとめると、被災時に取り出せない恐れがあるので避けましょう。
一箇所にまとめて置かない理由
- 火災や家具の倒壊により、防災リュックを取り出せないリスクがある
- 家族全員分の防災リュックを持ち出すのに時間がかかる
災害発生時は、家族の誰か少なくとも1人分だけでも防災リュックを持ち出せれば、被災当日の「寒さ」「空腹」をしのげるかもしれません。
しかし、防災リュックを一箇所にまとめると、火災・倒壊によってすべてのリュックが取り出せなくなる恐れがあります。さらに、「収納スペースから取り出す」「家族全員にリュックを渡す」この一連の作業に時間がかかると、避難行動の遅れにつながりかねません。
防災リュックは、玄関や寝室、リビング/ダイニングなど、分散備蓄を意識して、家族の誰でも持ち出しやすいよう配置しましょう。
一軒家・集合住宅(マンションなど)の防災リュック置き場所

防災リュックの保管に適した場所は、住まいのタイプによって異なります。一軒家とマンション・アパートでは建物の構造や避難経路が違うため、同じ配置が必ずしも正解とは限らないためです。
住居の間取りや特性を踏まえた上で、いざというとき確実に手が届く場所を選びましょう。次項では住居タイプ別に実践しやすい防災リュックの置き場所を紹介します。
一軒家での防災リュックの置き場所
一軒家の場合、以下の方法で防災リュックを配置しましょう。
一軒家の防災リュック置き場所
- 各階の廊下
- 玄関付近
- 寝室(枕元やドア付近)
一軒家では、各階にいる誰もが防災リュックを持って避難できる配置を意識してください。玄関はもちろん、廊下にも防災リュックがあれば、階段を下りる際に速やかな避難につながります。
また、災害は夜間に発生する可能性もあり、停電のリスクも考えられます。暗闇で防災リュックを探すのは困難なため、枕元やドア付近など見つかりやすい場所に置きましょう。
マンションでの防災リュックの置き場所
マンションでは、以下の場所に防災リュックを置いてください。
マンションの防災リュック置き場所
- 玄関付近
- リビングのドア付近
- 寝室の枕元やドア付近
- 車内(高層階の場合)
マンションの場合も、一軒家同様に分散備蓄が原則です。玄関はもちろん、寝室やリビングなど、家族の誰もがリュックを取りやすい場所に配置しましょう。
ただし、マンションはベランダを避難経路として活用できるケースもあります。防災リュックを含め備蓄品を置きすぎると、避難の妨げになる可能性もあるので注意してください。
また、高層階の場合、エレベーターが停止して外出先から自宅に戻れない恐れもあります。温度変化に強い防災用品のみ(食品や水は避ける)に絞って、防災リュックを車に備蓄しておけば、速やかに避難できます。
一人暮らし(1R・1K)での防災リュックの置き場所
1Rや1Kのアパートの場合は、以下の場所に防災リュックを置いてください。
一人暮らし(1R・1K)の防災リュック置き場所
- 玄関ドアのすぐ横
- ベッド付近(横や下)
一人暮らし(1R・1K)の場合、収納スペースは限られますが、「クローゼットの中」「収納の奥」などに置くと非常時の持ち出しが困難です。さらに、家具の近くでは、倒壊によって取り出せないリスクもあります。
これらを考慮して、玄関付近やベッド下など、「持ち出しやすく」「取り出せないリスクの低い場所」を選びましょう。ベッド下を活用する際は、地震でベッドが動いても取り出せるよう手前側に置くか、紐をつけて引き出せるよう工夫すると安心です。
防災リュックを車や物置に置くのは?屋外保管のメリットとデメリット

車や物置きなど、屋外の場所に防災リュックを置いた場合、「外気温の影響」や「何らかの理由で取り出せない」などのリスクもあります。
次項では、防災リュックの屋外保管に関するメリット・デメリットを解説するので、ご自宅の状況と照らし合わせつつ、保管するか否か判断しましょう。
車(車載備蓄)のメリット・デメリット
車に防災リュックを保管するメリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
| ・移動中の被災でも必要な物資を取り出せる ・自宅が倒壊しても備蓄を活用できる ・室内の収納スペースを圧迫しない | ・外気温の影響で水や食料が劣化しやすい ・ペットボトルが変形するリスクがある ・高温により乾電池が劣化しやすい |
車内は、夏になると40℃を超える高温になりやすく、ペットボトルなど熱の影響を受けやすいものは変形するかもしれません。熱の影響で劣化する防災用品もあるため、車載備蓄は「耐熱」「劣化しない」を考慮した防災用品に絞る必要があります。
たとえば、「耐熱素材を使った保存水」「電子機器は避ける」などの対策を検討してください。あらに、直射日光を避け、トランク下層部などに保管しましょう。
車載備蓄は、あくまで「サブの備え」として位置づけるのが賢明です。
物置のメリット・デメリット
屋外の物置に防災リュックを保管するメリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
| ・室内の収納スペースを圧迫しない ・かさばる備蓄品をまとめて保管できる (大量の水や食料、毛布など) | ・ガラス片などの散乱で庭に出られない ・物置自体が転倒して取り出せない ・鍵の変形で開かない |
前提として、物置に保管した防災リュックは緊急時にすぐ持ち出せないため、「一時持ち出し品(緊急用の備蓄)」の保管には不向きです。大量の水や食料など、避難生活が落ち着いてから使う「二次持ち出し品(備蓄品)」の保管場所として活用しましょう。
また、大規模な地震が発生した場合、物置きの配置や形状によっては、「アクセスできない」「扉を開けられない」などのリスクもあります。
命を守るための防災リュックは、屋内(玄関や寝室など)への保管がおすすめです。
防災リュックのNGな置き場所3選

次項では、特に注意が必要な防災リュックを置いてはいけない場所を3つご紹介します。良かれと思って選んだ場所が命取りにならないよう、現在の保管場所が適しているか見直しましょう。
背の高い家具(タンス・本棚)の近く
背の高い家具の近くには、防災リュックを置かないでください。タンス・本棚・冷蔵庫などは、大地震の際に倒れてくる可能性が高いためです。
取り出せなくなるのはもちろん、取りに行く際に家具が倒れて怪我をする恐れもあります。なお、転倒防止対策をしている場合でも過信は禁物です。
防災リュックの置き場所は、周囲に大型家具の少ない「玄関付近」「寝室のベッド脇」を選びましょう。
奥まったクローゼットや押入れ
防災リュックを保管する際は、クローゼットの奥や押入れの天袋を避けましょう。災害時は停電のリスクがあり、暗い中で防災リュックを探すのは困難です。
避難行動は速やかに行わなければ、余震や津波などの被害に遭いかねません。
防災リュックは「保管するもの」ではなく「緊急時にすぐ使うもの」です。扉を開けてすぐ手が届く、ワンアクションで取り出せる場所に置くことを徹底しましょう。
「浸水想定区域」なら床置きは厳禁
浸水想定区域に住んでいたり、マンションの1階に住んでいたりする場合は、防災リュックの床への直置きは避けましょう。台風やゲリラ豪雨で浸水するとリュックが水没し、着替えや食料、電子機器といった中身が全滅しかねません。
水害リスクがある地域では、下駄箱の上段やクローゼットの上棚などの腰より高い位置か、2階での保管が鉄則です。自分の住む地域のハザードマップを確認し、災害の種類に応じた配置を心がけてください。
防災リュックは「置き場所」と「中身」の基本を押さえよう!
防災リュックは玄関と寝室へ分散して保管するのが基本ですが、住居の構造やハザードマップによって適する保管場所は異なります。
置き場所が決まったら、寝室から起き上がり玄関を出るまでの動作を実際に試してみましょう。「家具が邪魔」「暗くて見えない」といった気づきが、より効果的な備えにつながります。
また、適切な場所に防災リュックを保管しても、中身が重すぎれば咄嗟に持ち出せません。置き場所と合わせてリュックの中身についても、知識を深めておきましょう。
「防災リュックに必要な防災用品」「適切な重さ」など、詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

