ペットの非常食ガイド|必要量・おすすめ商品・選び方を解説
「避難所でペット用の食事はもらえる?」「ペット用は今のままで足りるのか」など、災害を想定するとペットに係る不安がでてきます。
災害発生時、人間のための支援物資は比較的早く届きますが、ペット用の物資が手に入るとは限りません。特に、療法食を食べている場合や、環境の変化で食欲が落ちやすいペットにとって、非常食の準備は命に係わる重要課題です。
本記事では、ペットに必要な備蓄量の目安や、災害時でも安心して与えられるおすすめの非常食、そして失敗しない選び方を徹底解説します。おすすめのペット用非常食もご紹介するので、備蓄の際はぜひ購入を検討してください。
この記事を読めば、災害発生後でもペットの安全・健康を守りやすくなり、日常的な不安も軽減されるでしょう。
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なぜペットに非常食(備蓄)が必要なのか?災害への備え

ペットも人間と同様、生きるために水や食料が欠かせません。しかし、災害発生後は普段通りに買い物できるとは限らないほか、自宅の倒壊によって普段ストックしてる餌を与えられない恐れもあります。
次項では、ペットの非常食が必要な理由について、政府・自治体の対応や避難生活などの視点から解説します。
避難時は人への支援が優先される
災害発生直後、国や自治体による救援物資は「人命救助」が最優先されます。避難所における支援では、人間用の水や食料、毛布が優先です。
自治体によってペットに対する対応の有無には差があり、早急に支援を受けられるとは限りません。ペット用の食料が受け取れるのは、災害発生から数日~一週間後となる可能性もあります。
また、ペット用フードを受け取れたとしても種類は選べません。普段食べているフードとは異なる銘柄である可能性が高く、急な食事の変更でお腹を壊したり、アレルギー反応を起こしたりするリスクもあります。公的な支援をあてにするのではなく、自助努力で確保しておくことが前提です。
ペットの命を守る飼い主の責任
環境省が策定した「人とペットの災害対策ガイドライン」によると、災害時におけるペット対策は以下のように記載されています。
避難所で飼養する場合には、ペットとの同居や住み分けなどについて
各避難所が定めたルールに従い、飼い主が責任を持って世話をする。飼
養環境の維持管理には、飼い主同士が助け合い、協力することが必要と
なる。
災害発生後の避難生活においても、平常時と同様に飼い主が責任を持ってペットを飼育しなければなりません。もちろん、非常時は飼い主個人の対応に限界があるため、各自治体では支援体制も整備されています。
災害という非日常のストレス下では、ペットも体調を崩しやすくなります。そんなとき、普段から食べ慣れている食事があることは、単なる栄養補給だけでなく、ペットの精神的な安定(心のケア)にもつながります。
「うちの子はなんとかなる」という楽観視は捨て、自分がいなければ誰もこの子を守れないという意識を持つことが、防災のスタートラインです。
ペット同行避難の基本ルール
現在、国は災害時に飼い主がペットと一緒に避難する「同行避難」を推奨しています。しかし、これは「避難所でペットの面倒を見てくれる」という意味ではありません。あくまで「安全な場所まで一緒に逃げること」を指します。
すべての自治体・避難所で「ペットと一緒に生活できる(同伴避難)」が叶うとは限りません。基本的に、避難所ではペットを専用スペースで生活します。
そこでの食事の世話や排泄物の処理は、すべて飼い主が行わなければなりません。備蓄食料を持参していなければ、避難所での生活自体が立ち行かなくなるリスクを理解しましょう。
ペットの非常食に必要な備蓄量目安

ペット用の非常食を備蓄する際、闇雲に始めても「必要量に満たない」「過剰な備蓄で賞味期限切れを出す」といったリスクがあります。次項では、備蓄に必要な目安量を解説するので、これから始める人はぜひ参考にしてみてください。
持ち出し用は最低5日分(備蓄は1ヶ月分)
ペット用の非常食備蓄は、「持ち出し用」と「自宅備蓄用」の2段階で考えます。
まず、避難所へ逃げる際にリュックに入れて持ち出す分として、「最低5日分(できれば7日分)」が必要です。これはライフラインが寸断され、支援が届き始めるまでの期間を自力で乗り切るための量です。
次に、自宅で避難生活を送る、あるいは物流が長期停止した場合に備えて、「約1ヶ月分」の備蓄を目安としましょう。特に療法食や特定のブランドしか食べないペットの場合、災害時に同じものを入手するのは極めて困難です。余裕を持って多めに確保しておくことが、安心につながります。
飲み水の備蓄も忘れずに
フードと同じくらい、あるいはそれ以上に重要なのが「水」です。
犬や猫が必要とする水分量は、1日あたり体重1kgにつき約50ml〜60mlと言われています(食事内容や季節による)。
災害時は長期保存できるドライフード中心の食事になることが多く、十分な飲み水が不可欠です。ミネラルウォーターの種類によっては、ミネラル過多で尿路結石の原因になることがあるため、ペットには「軟水」を用意してください。
ペット用非常食を備蓄する4つのポイント

ペット用の非常食購入を検討する人は、次項で解説する5つのポイントにも目をとおしましょう。非常食といっても種類は多く、判断基準が曖昧なままでは適切な備蓄ができません。
「非常時のストレスを軽減させたい」「安全かつ美味しいフードを食べてほしい」といた場合は、選び方の基本を押さえてください。
ポイント① 栄養バランスの良い総合栄養食を選ぶ
非常食を選ぶ際は、「総合栄養食」と記載されたものがおすすめです。
おやつ(間食)や一般食(副食)だけでは、必要なビタミンやミネラルが不足し、長期間の避難生活で体調を崩す原因になりかねません。缶詰やレトルトを選ぶ際も、それが「総合栄養食」なのか、単なる「トッピング用」なのかを必ず確認してください。
ポイント② 普段から食べ慣れているフードを選ぶ
「非常食だから」といって、食べたことのない特別なフードを用意するのはリスクがあります。繊細なペットの場合、災害のストレスと相まって、見慣れない食事を拒否する可能性があるためです。
基本的には「いつものフード」を多めに備蓄しましょう。もし長期保存用の特殊なフードを備える場合は、事前に少量を与えてみて、食いつきや体調変化(下痢など)がないか確認しておくことが大切です。
もちろん、アレルギー体質なペットの場合は、必ずフードのパッケージを確認し、与えられるものか判断してください。
ポイント③ ドライ・ウェットフードを食べ慣れておく
長期保存用のペットフードはドライタイプが多いため、年齢・体質的な問題がなければ、普段からウェット・ドライそれぞれのフードを与えて慣れさせることも大切です。ドライタイプは賞味期限が長く、備蓄用に適しています。
しかし、ドライタイプを食べ慣れていない場合、避難生活中に受け付けないかもしれません。ドライ・ウェットそれぞれを食べ慣れておくと、避難生活中でもペットに安心を与えやすくなります。
ポイント④ そのまま与えられる形状やパッケージを選ぶ
避難所では水が貴重であり、洗い物もできません。そのため、食器を使わずに与えられる形状や、使い捨てできるパッケージのものが便利です。
小分けパックになっているドライフードやパウチ入りのウェットフードは、開封してそのまま、あるいは紙皿に出すだけで与えられます。缶詰はプルタブ式(缶切り不要)のものを選びましょう。
一度で使い切れるサイズを選ぶことで、衛生面のリスクも減らせます。
ペット用非常食(長期保存)おすすめ4選

長期保存可能な、犬・猫用のおすすめペット非常食3選をご紹介します。概要・(価格・保存期間など)や特徴を解説するので、備蓄を始める際はぜひ参考にしてください。
【犬用】非常食 わんパンゴールド(QIX)
わんパンゴールドは、動物病院向けの製品などを開発するQIXが販売している、賞味期限5年の長期保存食です。
| 参考価格 | 1,386円 |
| セット内容 | 85g×1袋 |
| 用途 | おやつ |
| 保存期間 | 製造から5年 |
| アレルギー対応 | 犬主要アレルゲン35品目不使用 |
硬すぎず手で割りやすいビスケットタイプで、小型犬から大型犬まで与えられます。アレルギーへの配慮はもちろん、ミネラル成分も制限されているため、尿石症や心臓・腎臓疾患用療法食などを食べている犬にも与えやすい商品です。
また、パッケージはパウチタイプなので、防災リュックの隙間へ収納しやすく、一時避難用としても活用できます。
【犬用】お魚バラエティセット(Zasshu)
愛犬・愛猫家向けブランドZasshuが展開する、3種のフードを含めたドッグフードの非常食セットです。
| 参考価格 | 6,682円 |
| セット内容 | 鮭/小アジ/真鯛×3袋ずつ(各100g) |
| 用途 | 食事 |
| 保存期間 | 製造から2年 |
| アレルギー対応 | - |
Zasshuのレトルト非常食は、ウェットタイプでありながら製造から2年の長期保存が可能。穀物でのかさ増しや食品添加物なども使わず、食材の美味しさ・栄養価がぎゅっと詰まった非常食です。
また、避難生活中における食欲不振も考慮して、柔らかく食べやすいよう作られています。水分も同時に摂取できるため、愛犬の健康が気になる人におすすめの商品です。
【犬用】ウェットドッグフード レトルト フィッシュ(PETOKOTO FOODS)
レトルト フィッシュは、新鮮な食材を使用したフレッシュフードで人気のPETOKOTOが手がける、常温保存可能なレトルトフードです。
| 参考価格 | 880円 |
| セット内容 | 100g×1パック |
| 用途 | 食事 |
| 保存期間 | 製造から2年 |
| アレルギー対応 | 小麦不使用 |
レトルト フィッシュは、獣医師・栄養士監修の総合栄養食です。食材の食感や香りを残しつつ、災害時の食欲不振な愛犬でも食べてくれやすい美味しさが魅力。
賞味期限は製造から2年と長めなので、ローリングストック用の「ごちそう非常食」として備えておくと、愛犬のストレスケアにつながります。
【猫用】ねこのまんま 保存食タイプ(ねこのまんま)
ねこのまんま 保存食タイプは、無添加・国産にこだわった、長期保存用キャットフードです。
| 参考価格 | 10,000円 |
| セット内容 | 400g×3個 ※オリジナル巾着、折りたたみフード皿 |
| 用途 | 食事 |
| 保存期間 | 製造から2年 |
| アレルギー対応 | - |
ねこのまんま 保存食タイプは、国産・無添加にこだわったキャットフードを真空パックにして長期保存を可能とした非常食です。1.2㎏の大容量なため、1日50gのフードを食べると仮定した場合、約24日持ちます。
また、本商品は使い勝手も考慮され、保存袋はジップ付きです。さらに、肩から掛けられる巾着袋、コンパクトに折りたためるフード皿など、避難生活を考慮したアイテムが付属しています。
愛猫の健康はもちろん、人間の負担も抑えたい場合、「ねこのまんま 保存食タイプ」がおすすめです。
非常食以外に準備すべきペット用防災グッズリスト

災害発生後、ペットを守るには、非常食のみでは不十分です。避難生活では、「トイレが足りない」「身体を洗えない」など、避難生活ではさまざまなトラブルが発生します。
ペットの健康・安全を守れるよう、飼い主の徹底した準備が求められます。
リスト① 常備薬や療法食
持病があるペットにとって、薬と療法食は命綱です。災害時、動物病院は被災して閉まっているか、薬品不足に陥る可能性があります。
避難用の持ち出し袋には、数日分の予備薬を入れておきましょう。療法食も流通が止まると代替品がないため、最優先で備蓄リストに入れてください。
リスト② 生活用品・衛生用品
避難所での衛生管理は非常にシビアです。周囲への配慮のためにも、生活用品・衛生用品は多めに用意します。
生活用品・衛生用品の備蓄リスト
- トイレシート、猫砂::1週間分以上
- 防臭袋(BOSなど):排泄物の臭いを漏らさない高機能な袋は必須
- ウェットティッシュ:お風呂に入れないため、体を拭くのに使う
- タオルやブラシ :身体の清潔を保ち、衛生環境を維持する
- フード皿 :避難所に食器類があるとは限らないため
避難生活において、水は特に貴重な物資です。「身体を洗う」「排泄物を処理する」などへの使用は制限されるため、上記の生活・衛生用品は優先的に備蓄しましょう。
リスト③ ペットの情報
避難生活では、「ペットが迷子になる」「ストレスなどを理由に体調を崩す」といったリスクもあります。正しく対処するため、以下の情報もメモして持ち出し袋に入れましょう。
ペットに係る情報
- 飼い主の連絡先(飼い主以外の緊急連絡先)
- ペットの写真
- ワクチンの接種状況や健康状態、既往症など
- 投薬中の薬
災害発生後は、かかりつけの動物病院が機能しているとは限りません。ペットの情報があれば、最寄りの動物病院で速やかに治療してもらえる可能性があるため、健康状態や薬などをメモしておきましょう。
リスト④ 人と共有できるもの
人間用の防災グッズの中にも、ペットと共有できるものがあります。
共有できるものリスト
- 水 :軟水のミネラルウォーターは共有可能
- 新聞紙 :防寒材、緊急的なトイレシートの代わりになる
- ガムテープ・ペン:ケージの補修や、ペット情報の掲示に使える
水は500mlボトルがおすすめです。飲み切りやすく衛生的なほか、持ち出し袋に入れやすいサイズ・重さです。2~3本を目安に、持ち出し袋へ入れておきましょう。
備蓄用の水については、以下の記事で詳しく解説しています。
リスト⑤ その他のアイテム(写真・リード・キャリーケースなど)
ペットの避難生活を支えるため、以下のアイテムも備えましょう。
その他のアイテムリスト
- リード(伸びないタイプ)
- キャリーケース
- 迷子札が付いた首輪
万が一はぐれてしまったときに備え、ペットと一緒に写っている写真(スマホの中だけでなく印刷したもの)も用意してください。
キャリーケースは普段から部屋に置いて慣れさせておくことで、スムーズに避難できます。
ペット用の非常食の注意点

ペットは人間のように意思表示できないため、飼い主が責任を持って非常食を管理しなければなりません。
次項では、非常食の備蓄や選び方に関する注意点を解説します。ペットの健康を守るためにも、必ず目をとおしておきましょう。
注意点① 長期保存&普段のフードを備蓄する(ローリングストック)
専用の長期保存食だけでなく、普段食べているフードを多めにストックする「ローリングストック」を基本に備蓄しましょう。
ローリングストックの流れ
- 普段から多めに食料や水を買い足す
- 賞味期限の古いものから消費する
- 非常時でも、賞味期限の新しい食料・水を確保できる
「1袋開けたら、新しい1袋を買い足す」というサイクルを守ることで、常に新しい賞味期限の「いつものご飯」が手元にある状態を維持できます。
さらに、長期保存可能な非常食があれば、長期的な避難の際もペットの食事を切らすことなく与えられます。
注意点② 年齢や体調を考慮して選ぶ
ペットも年齢とともに必要な栄養素や食べやすい形状が変わります。
1年前に準備した防災リュックの中身が「子犬用」のままだった、ということがないよう、少なくとも年に1回は見直しを行います。シニアになったら消化の良いものに変えるなど、その時の健康状態に合わせたフードに入れ替えてください。
注意点② メーカー推奨の保管方法を徹底する
フードは酸化しやすく、湿気や高温に弱い食品です。
劣化したフードは下痢や嘔吐の原因になりかねません。直射日光の当たらない冷暗所に保管し、開封後は密閉容器に入れるなど、メーカー推奨の保管方法を守ってください。特に夏場の車内や、湿気の多いシンク下などへの保管は避けるべきです。
ペットを守る飼い主のための備蓄も始めよう!
地震や津波が発生しても、ペットは自力で避難できません。自分の食事を確保することも難しいため、買主が責任を持ってペットが守れる備えを始めましょう。
ペット用の備蓄のポイント
- 量 :持ち出し3日分+備蓄1ヶ月分
- 選び方:食べ慣れたフードをローリングストックする
- 水 :軟水を確保する
また、ペットの健康・安全を守るには、飼い主自身も避難できる状況を整えなければなりません。備蓄ができていない人は、まず1日分の備蓄から始めましょう。
詳しくは、以下の記事で解説します。


