非常食が必要な理由がわかる!備えないリスクと備蓄の基本
「災害大国・日本」といわれて久しいですが、心のどこかで「自分は大丈夫」「いざとなれば避難所に行けばなんとかなる」と考えていませんか。スーパーやコンビニが近くにある便利な生活に慣れていると、食料が手に入らなくなる状況を想像するのは難しいかもしれません。
しかし、ひとたび大規模災害が発生すれば、その「当たり前」は崩れ去ります。
この記事では、なぜ非常食の備蓄が必要なのか、その根本的な理由と、備えなかった場合に直面する具体的なリスクを解説します。さらに、今日から無理なく始められる備蓄の基本も紹介します。
この記事を読めば、備蓄の重要性が理解できるだけでなく、家族の命を守るための具体的な行動を起こせるようになるでしょう。
非常食が必要な理由は?災害時に直面する現実

災害発生後は、ライフラインや物流の断絶、人命救助などを理由に「物資を手に入れられない状況」となる可能性があります。避難生活を自力で乗り切る準備が求められるため、非常食の備蓄は欠かせません。
次項では、「非常食がなぜ必要か」「どのようなシーンで必要なのか」を解説します。どのような非常食を備蓄すべきかを考えるため、必要性から見ていきましょう。
ライフライン停止という深刻な事態
非常食が必要な理由は、災害によって電気・ガス・水道の「ライフライン」が停止し、調理や水の確保が不可能になるためです。
ライフライン停止で起こりうるリスク
- 冷蔵庫の食材を調理できない(そのまま腐ってしまう)
- 水道やガスが使えず、カップ麺も作れない
- 弁当や総菜を手に入れても、温められない
普段、冷蔵庫にある食材の多くは「加熱調理」や「水洗い」を前提としていますが、ライフラインが止まった瞬間、それらは食べるのが困難なものへと変わります。
だからこそ、加熱も加水も不要で、パッケージを開ければすぐに食べられる非常食(缶詰やレトルト食品、栄養補助食品など)が必要です。これらは、ライフラインが復旧するまでの間、生きるためのエネルギーを確実に摂取する手段となるでしょう。
物流の麻痺と食料不足
「家になくても、コンビニやスーパーで買えばいい」という考えは、災害時に通用しないかもしれません。発災直後から物流網(道路、鉄道など)が寸断され、商品の供給がストップするリスクがあるためです。
実際、2024年1月1日に発生した能登半島地震では、一部地域の物流網が寸断され、スーパー・コンビニが休業したケースもありました。
参考:読売新聞オンライン
たとえお金を持っていても、売るものがなければ買うことはできません。物流が回復するまでの数日から数週間、自宅にあるものだけで食いつなぐ準備がなければ、家族の健康・安全を支えられない恐れがあります。
公的支援が届くまでの時間
国や自治体による救援物資(公助)は、災害発生直後すぐには届きません。大規模災害が発生した場合、行政の支援が被災者の手元に届き始めるまでには、早くても「3日間(72時間)」かかると言われています。
発災直後の72時間は「人命救助」が最優先される期間です。自衛隊や消防、警察のリソースは、倒壊した家屋からの救助や、火災への対応に集中します。食料や水の配布はそのあとです。
参考:内閣府|災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン
また、道路状況が悪ければ、支援物資の到着はさらに遅れます。
つまり、災害発生からの「3日間」は、自分たちの力(自助)だけで生き延びる準備が必要です。
非常食がない場合の自治体からの支援

「避難所に行けば食料がもらえる」という認識は、半分正解で半分間違いです。確かに避難所では食料の配布が行われますが、そこには厳しい現実があります。
まず、避難所の備蓄には限りがあります。人口密集地で大規模災害が起きた場合、避難所に人が殺到し、十分な量の食料が配給されるとは限りません。過去の事例(能登半島地震)では、「朝食にせんべい1枚」「水はコップに半分」といったケースもありました。
参考:朝日新聞
また、公的支援には、以下のリスクもあります。
公的支援におけるリスク
- アレルギー対応食がなく、食事が取れない
- 高齢者向けの柔らかい食事がない
- 乳幼児用のミルクが十分に用意されていない
- 在宅・車中泊避難の場合、避難所への物資が優先されやすい
公的支援はあくまで「最後のセーフティーネット」です。体質・年齢によっては、最初からあてにするものではないと認識しましょう。
非常食は本当に必要?備えない3つのリスク

非常食を備えないリスクを3つ解説します。ご自身の状況や世帯人数、家族の体質などと照らし合わせつつ、「今後どのように対策すべきか」を考える参考にしてください。
【身体的なリスク】健康と体力の低下
食料が不足すれば、当然ながら栄養失調や体力低下のリスクを招きます。
食料不足による身体的なリスク
- 免疫力低下により、風邪や感染症などにかかりやすくなる
- 野菜不足が続いた場合、便秘・口内炎などの疾患リスクが高まる
- 水が不足すると、脱水症状やエコノミークラス症候群などのリスクもある
災害時は、片付け作業などの肉体労働や緊張状態により、平常時以上にエネルギーを消費します。十分なエネルギーを摂取できないと、身体における疾患リスクを高めかねません。
健康な状態で避難生活を送り、復旧活動を続けるためにも、十分な食料確保は不可欠です。
【精神的なリスク】不安とストレスの増大
「食べるものがない」「明日の食事がどうなるかわからない」という状況は、過度なストレスと不安を与えます。
精神的なリスク
- 空腹によるイライラは、家族間のトラブルの原因になりかねない
- 不安やストレスが原因で、食欲が低下する
空腹はイライラを増幅させ、過度なストレスは食欲不振を招く恐れもあります。
食事は単なる栄養補給だけでなく、心のケアという重要な役割を担っています。温かい食事や甘いお菓子があるだけで、張り詰めた神経が和らぎ、精神的な安定を取り戻しやすくなるでしょう。
非常食を備えることは、「食料だけはあるから大丈夫」という心の余裕を生み、パニックを防ぐための精神安定剤としても効果が期待できます。
【家族へのリスク】特に子どもや高齢者がいる場合
中でも深刻なのは、自分だけでなく、守るべき家族を危険に晒してしまうリスクです。
避難所で支給される食事は、おにぎりやパン、アルファ米など炭水化物が中心です。タンパク質・ビタミン・ミネラルなど、栄養面を考慮しなければ、心身への疾患リスクを高めます。
子ども・高齢者へのリスク
- 栄養の偏りによる持病の悪化
- タンパク質不足による筋力の低下
- 噛む力・飲み込む力が弱っている場合、食事が取りづらい
家族構成や体質に合わせた専用の食料を備蓄していれば、家族の健康リスクを抑えやすくなります。
過去の大規模災害においては、栄養士が派遣されるケースもありましたが、すぐに支援を受けられるとはかぎりません。自力で数日間を乗り切れる備えも進めておきましょう。
高齢者の方がいる家庭では、以下の記事もぜひ参考にしてください。
関連維持:非常食 高齢者
非常食の必要性からわかる!備蓄の基本

今日からでも始められる、非常食備蓄の基本を解説します。備蓄の目安量や非常食の選び方、備蓄食料の管理方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。
備蓄量の目安は最低3日分
政府が推奨する備蓄量の目安は、「最低3日分、できれば1週間分」です。
これは前述の通り、公的支援が届くまでの「3日間」を自力で乗り切るためです。さらに、南海トラフ巨大地震や首都直下地震のような広域災害を想定する場合、物流の回復に1週間以上かかる可能性があるため、1週間分の備蓄が望ましいとされています。
※参考:政府広報オンライン|今日からできる食品備蓄。ローリングストックの始め方
まずはこの「3日分」を家族の人数分そろえることを目標にしてください。大量に買うのが大変であれば、まずは1日分の食料備蓄から少しずつ買い足して目標量に近づけましょう。
1日分の食料備蓄については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
備蓄におすすめの非常食の種類と選び方
備蓄におすすめの非常食と選び方を見ていきましょう。
| 種類 | おすすめの非常食 | 選ぶポイント |
| 主食 | ・アルファ米(白米、おかゆ) ・携帯おにぎり ・缶詰のパン | ・調理不要で食べられる ・味の種類を増やす |
| 主菜(おかず) | ・レトルト食品 ・缶詰(焼き鳥、野菜など) | ・長期保存できる ・栄養バランスを考慮する |
| その他 | ・長期保存用のようかん ・野菜ジュース ・缶詰のお菓子 ・栄養補助食品 | ・好みに合ったものを選ぶ ・アレルギーを考慮する ・年齢に応じた食べやすさ |
基本は、主食・主菜(おかず)をバランス良く備蓄します。味に飽きのこないよう、バリエーションを増やしましょう。
また、栄養不足を補うには、栄養補助食品や野菜ジュースがおすすめです。もちろん、子ども・高齢者のいる家庭では、年齢に合わせた食べやすさも考慮してください。
ただし、これだけの量を1つずつ購入するのは、手間とコストがかかります。購入を検討する際は、以下の記事で解説するセット商品も検討してみてください。
関連記事:非常食セット 3日分
無理なく備蓄を続けるローリングストック
「非常食=特別なもの」と考えると、賞味期限切れや買い忘れが起きがちです。そこでおすすめなのが「ローリングストック(循環備蓄)」です。
ローリングストックとは
- レトルト食品やパックご飯、缶詰などを日常的に消費・買い足す方法
- 賞味期限の古いものから消費すると、新しいものを常に備蓄できる
- 割高な長期保存用の非常食を大量に備蓄する必要がない
ローリングストックであれば、日常的に備蓄食料を消費するため、味に慣れつつ、賞味期限切れのリスクも抑えられます。
長期保存用の非常食+ローリングストックで、自分や家族にフィットした味・栄養・成分の備蓄が完成します。
非常食の必要性がわかったら1日分の備蓄から始めよう!
非常食が必要な理由は、災害時にライフラインと物流が停止し、公的支援が届くまでの数日間を自力で生き延びるためです。
備蓄がない場合、栄養や水が不足し、心身への疾患リスクが高まります。避難生活を少しでも安全に切り抜けるには、日頃の備蓄が欠かせません。
規模の大きな災害を想定し、必要十分な備蓄をそろえましょう。
「なにから始めていいかわからない」「備蓄する非常食の目安を知りたい」といった人は、以下の記事を参考にしてみてください。


