防災ヘルメットはいらない?備蓄しないリスクと選び方
「防災ヘルメットはかさばる」「自転車用のヘルメットがあるから」などを理由に、防災ヘルメットの購入を迷っていませんか。確かに、ヘルメットは場所を取るため、収納スペースが限られる家庭では敬遠されがちです。
しかし、東京消防庁の調べによると、地震発生時の負傷者の3~5割は「家具類の転倒・落下」による負傷と判明しています。頭を守れる状態が整っていないと、大きなケガを負うリスクは高まります。
※参考:東京消防庁|家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック
本記事では、防災ヘルメットは「本当にいらないのか」、その必要性や備蓄しないリスクについて解説します。保管場所に困っている人におすすめの製品ジャンルもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読めば、あなたにとっての防災ヘルメットの優先度、自宅にマッチした製品の見つけ方がわかります。
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防災ヘルメットはいらない?防災用品としての必要性

防災ヘルメットは、台風による飛来物、地震発生後の落下物から頭を守るために必要な防災用品です。家具やインテリアはもちろん、自宅から外に出るとガラス、家屋、瓦など、あらゆる落下物に警戒しなければなりません。
また、余震への警戒も必要で、部屋を片づける最中も物が落下する恐れがあります。地震の規模が大きいほど余震のリスクがあり、防災ヘルメットの必要性も高まるでしょう。
防災頭巾は防災ヘルメットの代わりにならない
防災頭巾と防災ヘルメットは、安全対策としての目的が異なるため、防災頭巾は代用できません。
防災頭巾・防災ヘルメットの目的
- 防災頭巾 :火災や火の粉、熱などから守る
- 防災ヘルメット:落下物や建物・家具の倒壊、飛来物から守る
防災頭巾は難燃性なため、火災から身を守る防災用品です。クッション性があり、落下物から頭を守ることもできますが、ヘルメットほどの保護性能はありません。
そのため、防災備蓄としては、防災頭巾・ヘルメットどちらも備えておく方が適切です。
自転車用ヘルメットは防災ヘルメットの代わりにならない
自転車用ヘルメットは、防災ヘルメットと安全性能や設計の方向性が異なるため、代用できません。
自転車用・防災用ヘルメットの違い
- 自転車用ヘルメット:衝突時にヘルメットが破壊されることで、衝撃を吸収できる仕組み
- 防災ヘルメット :上部からの落下物に対する衝撃耐性が強い
自転車用ヘルメットは、主に「転倒した際の衝撃吸収」を目的に作られているほか、通気性を良くするために多くの穴(ベンチレーション)が開いています。つまり、重量物の落下や貫きなどを想定した設計ではありません。
一方、防災ヘルメットは、「飛来・落下物」に対する保護を前提とし、吸収した衝撃が頭に伝わらないよう設計されています。
どちらも想定されるリスクが異なるため、自転車用ヘルメットは防災ヘルメットとしての代用を避けましょう。
防災ヘルメットはいらない?備蓄しない「3つの致命的リスク」

次項では、防災ヘルメットを備蓄しないリスクを3つ解説します。ヘルメットの購入に悩む人は、リスクの大きさについても頭に入れておきましょう。
リスク① 余震による看板・窓ガラスの落下
災害時、特に危険なのは「屋外での避難中」です。
地震の揺れで緩んだ看板や割れた窓ガラスの破片は、本震が収まった後でも、余震や強風によって頭上から落下する恐れがあります。
もしヘルメットをしていなければ、小さなガラス片一つでも頭皮を切り、出血を引き起こすかもしれません。頭部の怪我はパニックを招きやすく、正常な避難行動ができなくなる恐れもあります。
落下物から物理的に頭部をガードできるのは、硬いシェルを持つ防災ヘルメットだけです。
リスク② 屋内での負傷
大規模な地震が発生した場合、屋内での移動中もケガのリスクが高まります。
東京消防庁の調べによると、地震発生時の負傷者において、「3~5割は家具類の転倒・落下による負傷」と発表されています。もちろん、全員が頭の負傷ではありませんが、打ち所が悪ければ「意識を失う」「脳震盪(のうしんとう)を起こす」などの恐れがあります。
※参考:東京消防庁|家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック
ヘルメットは落下物だけでなく、転倒時の衝撃からも頭を守ります。特に足腰の弱い高齢者や、バランスを崩しやすい子どもにとっては、転倒対策としてのヘルメット着用が必要です。
リスク③ 子どもの負傷リスク
子ども用の防災ヘルメットを用意していない場合、頭にケガを負うリスクが高まります。
子どもは大人よりも身長が低く、同じ高さからの落下物でも、子どもの方が受ける衝撃は大きくなります。さらに、子どもは視野が狭く、大人ほど危険察知ができません。
また、大人用ヘルメットの被せても、サイズが合わなければ視界を妨げる可能性もあります。
子ども用の防災ヘルメットがなければ、避難中にケガを負うリスクが高まるため、家族の年齢に応じたヘルメットを用意しましょう。
防災ヘルメットを選ぶポイント6つ

防災ヘルメットは性能や価格がさまざまで、「安いものでいいか」と安易に判断すると、避難中に頭をガードしきれない恐れがあります。
次項では、災害時の安全性を高めてくれる、防災ヘルメットを選ぶポイント6つを解説します。購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
ポイント① 国家検定をクリアしている
防災ヘルメットを選ぶ上で、特に重要な基準は「労・検マーク(労・検のラベル)」が付いていることです。労・検マークとは、国(厚生労働省)が定める安全基準をクリアした製品に貼られるマークを指します。
商品の説明書きには、「厚労省検定合格品」と記載されるケースもあります。
この安全基準をクリアしていない安価な「作業用帽子」や「軽作業帽」では、落下物の衝撃に耐えられない可能性があります。「防災用」と記載されていても、必ず確認してください。
ポイント② 耐用年数が長い
ヘルメットには使用期限(耐用年数)があるため、長期保管できるよう耐用年数の長い製品を購入しましょう。耐用年数の目安は素材によって異なります。
| 素材 | 耐用年数の目安 |
| 繊維強化プラスチック(FRP) | 購入から5年以内 |
| ABS、PC、PE樹脂製 | 購入から3年以内 |
| 着装体 | 購入から1年以内 |
防災用品はどれも割高で、買い替えのたびにコストがかかります。安全性だけでなく、コストパフォーマンスも重視する人は、繊維強化プラスチック(FRP)製を選びましょう。
ポイント③ 耐熱性が考慮されている
火災の発生を想定し、熱に強い素材を選ぶことも大切です。
地震の規模が大きいほど、ガス管や電気配線の故障、家具の転倒などのリスクが高まり、火災を誘発します。そのため、防災ヘルメットは耐久性だけでなく、耐熱性も考慮しなければなりません。
FRP製ヘルメットは耐熱性(150~180℃)と優れており、高温な場所でも変形しにくい素材です。
一方、ABS樹脂やPEの耐熱性は70~100℃なため、防災用としては避けたほうが無難です。
ポイント④ 目立つ色が施されている
避難時は、救助隊や周囲の人から発見されやすい「黄色」「オレンジ」などの明るい色の防災ヘルメットを選びましょう。
黒や迷彩柄はかっこいいですが、暗闇や瓦礫の中では目立たず、発見が遅れるリスクがあります。また、夜間の視認性を高めるために、反射テープが貼られているものや、後付けで反射シールを貼るなどの工夫も有効です。
ポイント⑤ 大人用・子ども用で使い分ける
防災ヘルメットは、サイズが合っていないと衝撃を受けた時に脱げたり、ズレて頭を守れなかったりします。
「大は小を兼ねる」で子どもに大人用を被せるのは危険です。必ず頭囲に合ったサイズを選んでください。
子供用ヘルメットは軽量化されており、首への負担が少ない設計です。成長に合わせてサイズ調整(アジャスター)ができるタイプを選びましょう。
ポイント⑥ あご紐が付いている
衝撃や揺れでヘルメットがズレ落ちないよう、「あご紐」が付いているタイプを選んでください。
災害発生後の避難は、走って避難所まで移動するケースもあります。移動中の揺れでヘルメットがズレると、視界を遮り、避難行動に支障をきたしかねません。
基本的に、防災ヘルメットにはあご紐が付いていますが、購入前に必ず確認してください。長さ調整できるかも、チェックしましょう。
また、購入後は自分のサイズにあご紐を調整し、緩みがないかを確認してください。
「場所を取るからいらない」という人は「折りたたみ式」がおすすめ

「収納場所がない」「どこに置いていいかわからない」などの理由で「防災ヘルメットはいらない」という人は、折りたたみ式ヘルメットがおすすめです。
折りたたみ式ヘルメットの特徴
- A4サイズの箱に収まっている
- 本棚やラックへの収納が可能
- 折りたたみ式でも、国家検定をクリアした製品がある
折りたたみ式ヘルメットは、A4サイズの箱に入った製品が多く、本棚やラックへの収納が可能です。中身を取り出すと、厚さ4~6㎝程度なため、防災リュックの中にも入れられます。
また、通常のヘルメットと同様、国家検定をクリアした製品があり、耐久性の面でも安心感があります。
以下の記事では、折りたたみ式も含めたおすすめの防災ヘルメットを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
「防災ヘルメットはいらない」は間違い!災害への備えを万全にしよう
防災ヘルメットは、落下物や転倒から「頭」という人間の司令塔を守る重要アイテムです。
「いらない」と判断して備蓄を怠ると、いざというときに取り返しのつかない怪我を負う可能性があります。収納場所がない場合は折りたたみ式を選び、家族全員分を必ず用意してください。
ヘルメットで頭を守る準備ができたら、次は背負って逃げるための「防災リュック」の中身を見直しましょう。防災とは、避難所への移動だけでなく、避難所での生活も考慮しなければなりません。
ヘルメットとリュックがそろって初めて、あなたや家族を守る備えが完成します。防災リュックの中身については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。


