避難場所と避難所の違いとは?役割と逃げる順番、持ち物を解説
災害が発生したとき、「とにかく近くの学校へ逃げよう」と思い込んでいませんか。 実は、「避難場所」と「避難所」は名前が似ていますが、役割や目的の異なる施設です。
もし違いを知らないまま間違った場所へ逃げ込むと、避難したにもかかわらず、被災するリスクがあります。
いざというときにパニックにならず、安全な場所へ避難するには、この2つの違いを正しく理解しなければなりません。
この記事では、「避難場所」と「避難所」の違いや逃げる順番、それぞれに必要な持ち物をわかりやすく解説します。 災害発生後、あなたと家族の生存率を高め、安否確認がしやすくなるよう、正しい避難の知識を身につけましょう。
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避難場所と避難所の違いは「滞在する期間と目的」

「避難場所」と「避難所」の違いは、ひとことで言うと「滞在する期間と目的」にあります。
命の危険が迫っているときに一時的に逃げ込む場所なのか、それとも安全を確保したあとに一定期間生活を送る場所なのか、という違いです。 この2つの役割を正しく理解していないと、災害のフェーズに合わない行動をとってしまい、逃げ遅れる原因になりまかねません
ここでは、それぞれの施設が持つ具体的な役割と、逃げるべき正しい順番について詳しく解説します。
避難場所(指定緊急避難場所)とは
避難場所(指定緊急避難場所)とは、災害の危険が迫った際、とにかく急いで命を守るために一時的に逃げ込む場所のことです。
避難場所の役割
- 身の危険が迫ったときに避難する場所
- 津波や土砂災害など、命の危険がある際に利用する
- 一時的な避難を目的としているため、十分な備蓄はない(もしくは備蓄されていない)
具体的には、地域の大きな公園やグラウンド、高台、頑丈な高い建物などが避難場所として利用されます。災害の種類によって適切な避難場所は異なるため、自治体のHPなどで確認してみてください。
たとえば、東京都の場合、地図上で避難場所を調べられるサービスが提供されています。
※詳細はこちらから。
まずは命を守ることを最優先に考え、もっとも近い安全な「避難場所」へ全速力で逃げることが防災の鉄則です。
避難の必要性を判断する基準
避難すべきかどうかは、国や自治体から発令される「警戒レベル」を確認してください。警戒レベルは1~5段階で示されます。
警戒レベル3以上で避難の必要性があります。
- 警戒レベル3:避難に時間を要する人と支援者は避難(高齢者等避難)
- 警戒レベル4:速やかに危険な場所から避難(避難指示)
- 警戒レベル5:災害が発生し切迫している状況(緊急安全確保)
避難所(指定避難所)とは
避難所(指定避難所)とは、一定期間の避難生活を送るための場所です。
避難所の役割
- 安全が確保されるまで、自宅に戻れない人が滞在する
- 自宅の倒壊などを理由に帰れない人が滞在する
- 支援物資を受け取る生活拠点となる
- 収容人数に応じた備蓄が確保されている
避難所は、 地域の小中学校の体育館や公民館などが指定され、一定の期間、寝泊まりしながら支援物資を受け取る生活拠点です。 近年では、被災者の状況に合わせて以下のように避難所の種類が細分化されています。
- 1次避難所 :一般的な小中学校の体育館や公民館など、最初に身を寄せる生活拠点。
- 1.5次避難所 :2次避難所への移動の前に、一時的に健康状態を確認し待機する拠点
- 2次避難所 :1次避難所での生活が困難な人のために用意される、ホテルや旅館などの環境が整った施設
- 福祉避難所 :高齢者や障害を持つ人など、特別な配慮が必要な被災者を受け入れる専用の施設
避難所は生活の場ですが、決して快適なホテルではありません。 被災者の数が多ければ、備蓄品の配給が不足する恐れもあります。
あなたや家族を守るためにも、自宅の備蓄を充実させておきましょう。防災備蓄については、後述する>>避難場所と避難所で必要な「持ち物の違い」で詳しく解説します。
避難の順番は「避難場所」から「避難所」へ
災害が発生した際、推奨される避難の順番は、「避難場所」から「避難所」です。
地震の強い揺れや津波の警報が出た直後に、荷物を抱えて避難所(体育館など)へ向かうのは危険です。 避難所はあくまでも「安全が確保できるまで滞在する場所」であり、災害の種類に応じた立地とは限りません。
たとえば、津波発生時に平地の避難所へ向かった場合、避難所の建物そのものが津波の被害に遭うかもしれません。実際、東日本大震災では、避難所に指定された体育館が津波の被害に遭っています。
※参考:NHKアーカイブス
まずは、命を守るための「避難場所(広い公園や高台)」へ素早く移動し、災害の脅威が通り過ぎるのを待ちましょう。 その後、「警報が解除される」「自治体から安全の確認が発表される」などの段階で、「避難所」へと移動してください。
避難の際は、自治体から発表される避難指示に従い、正しく行動しましょう。
また、こうした行動を取るには、日頃から避難場所・避難所の所在を確認しなければなりません。自治体の防災関連ページなどから、避難場所・避難所をチェックしましょう。
避難場所と避難所で必要な「持ち物の違い」

逃げる場所と生活する場所が違うように、それぞれの段階で必要な「持ち物」もまったく異なります。 多くの人が「リュックに数日分の水や食料をすべて詰め込む」という間違いを犯していますが、これでは重すぎて逃げ遅れてしまいます。 災害時の行動フェーズに合わせて、持ち物を1次と2次に分けて準備する「分散備蓄」の考え方が非常に重要です。
避難場所(逃げるとき)は身軽さ重視!「1次持ち出し品(防災リュック)」
命を守るための避難場所へ逃げるときは、「身軽さ」を重視した「1次持ち出し品」だけを持ち出してください。
津波や土砂崩れが迫る中、重い荷物を背負って走っていては逃げ遅れるかもしれません。そのため、防災リュックの中身は「最低1日生き延びるためだけの軽い装備」に絞り込むのが鉄則です。
防災リュックの重さ目安
- 成人男性 :15㎏以下
- 成人女性 :10㎏以下
- 子どもや高齢者:6㎏以下
欲張って余計なものを入れず、とにかく走って逃げ切るための機動力を最優先に確保してください。
防災リュックの中身については、以下の記事で詳しく解説しています。
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避難所(生活する場合)は後から取りに帰る!「2次持ち出し品(備蓄品)」
避難所で長期間生活するための物資は、最初から持ち出すのではなく、安全が確認されてから後で取りに帰る「2次持ち出し品(備蓄品)」として準備しましょう。
2次持ち出し品の例
- 食料や飲料水(最低3日~7日分以上)
- 簡易(携帯)トイレ
- 寝具(アルミブランケットやエアーマットなど)
- モバイルバッテリー
- 衛生用品(ウェットティッシュやドライシャンプーなど)
- 救急用品
- 着替え
など
これらを災害発生直後にすべて持ち出そうとするのは、物理的に不可能ですし危険です。まずは身軽な1次持ち出し品のリュックだけで避難場所へ逃げ、命の安全を確保します。
その後、自宅の倒壊や津波の危険が去ったことを確認してから自宅に戻り、クローゼットやパントリーに備蓄しておいた2次持ち出し品を避難所へ運ぶのが正しい手順です。
逃げるための荷物と、生活するための荷物を明確に切り分け、いざというときの行動をスムーズにしてください。
以下の記事では、2次持ち出し品(自宅用の備蓄)のリストを公開しているので、ぜひ参考にしてください。
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知っておくべき避難エリアの種類

防災対策を進める上で、避難場所と避難所以外にも知っておくべき特別な避難エリアが存在します。 ご自身の住んでいる地域や、発生した災害の規模によっては、これらの施設や方法を選択することが命を守る最善策となる場合があります。
代表的な3つの避難エリアについて詳しく解説します。
広域避難場所
広域避難場所とは、大地震によって木造住宅の密集地域などで大規模な延焼火災が発生した際、その猛烈な熱や煙から身を守るために逃げ込む場所です。
広域避難場所の役割・特徴
- 地震に伴う火災(二次災害)から身を守る場所
- 大規模な公園やグラウンド、河川敷などが指定される
- 一時的に避難する場所なため、備蓄などの物資はない
災害の規模によっては、二次災害の発生も想定されます。自治体の防災マップなどを確認し、自宅からもっとも近い広域避難場所へのルートを事前にチェックしましょう。
津波避難ビル
津波避難ビルとは、大地震のあとに津波や高潮が発生した際、遠くの高台まで逃げる時間がない、近くに高台がない、といった状況で駆け込むための高い建物のことです。
津波避難ビルの役割・特徴
- 津波発生時に逃げ込むためのビル
- 鉄筋コンクリート造(RC)など、津波に耐えられる強度のあるビルが指定される
- 建物の入り口付近には、波から逃げる人のマークが描かれた標識がある
津波警報が出た際、渋滞に巻き込まれる車で逃げるのは危険です。近くに山や丘などの高台がない場合、津波避難ビルへの避難が推奨されています。
特に海沿いや川沿いにお住まいの人は、自宅から走って逃げ込める距離にある津波避難ビルを複数把握しておきましょう。
在宅避難
在宅避難とは、自宅に倒壊や浸水、火災の危険がないと判断できた場合に、そのまま住み慣れた家で生活を送り続ける避難方法のことです。
ただし、在宅避難を行うには条件があり、曖昧な判断基準では二次災害のリスクがあります。
在宅避難ができる条件
- 自治体から発令される警戒レベルが2以下
- ハザードマップで、自宅が浸水や土砂災害などの「危険区域外」に該当する
- 家屋に倒壊や火災の危険がない
- 電気や水道が止まっても生活できる備蓄がある
上記の条件がそろっていたとしても、不安を感じる場合は避難所を利用しても問題ありません。
また、在宅避難を選んだ場合であっても、一度は避難所へ向かいましょう。避難者カードを作成することで、公的支援を受けられるようになります。
以下の記事では、在宅避難と避難所の違い、在宅避難を選ぶ判断基準について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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避難場所・避難所の違いについてよくある質問

防災の準備を進める中で、「自分の地区以外の避難所へ行ってもいいのか」「避難所に行けば水がもらえるのか」といった疑問を持つかもしれません。
防災備蓄は、リスクを正しく想定し、それに備えることで、あなたや家族の安全を確保できる手段です。曖昧な知識を正せるよう、疑問や不安に感じるポイントを解消しましょう。
次項では、避難場所・避難所の違いについて、よくある質問と回答をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
よくある質問① 自分の住んでいる地域の指定避難所「以外」の場所へ逃げてもいい?
自分の住んでいる地域の指定避難所以外の場所へ逃げてもまったく問題ありません。
外出先や職場で被災した場合、無理に自宅近くの指定避難所へ戻ろうとすると、倒壊した建物や火災に巻き込まれる危険性が高まります。命の危険が迫っているときは、今いる場所からもっとも近い、安全な避難場所・避難所へ逃げることが最優先です。
外出先でもスマートフォンなどで現在地周辺の避難場所を検索できるよう、「防災アプリ」や「ハザードマップのURL」を入れておくと安心です。
詳しくは、以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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よくある質問② 避難所に行けば、必ず水や非常食がもらえる?
避難所に行けば、水や非常食を受け取れるとは限りません。
全国の避難所では、一定量の物資が備蓄されています。しかし、被災者の数が多ければ避難所のキャパシティを超え、必要量の物資が配給されないかもしれません。
さらに、災害発生直後は人命救助が優先されるほか、物流の停滞により、公的支援の配送が送れる可能性もあります。
あなたや家族の健康・安全を守るには、自宅での備蓄が必要です。避難場所に行く場合でも、最低1日分の飲料水と非常食は必ず持参できるよう、事前の備えを徹底してください。
避難場所へ持っていく荷物(防災リュック)については、以下の記事で詳しく解説しています。
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よくある質問③ 避難所での生活にはどんな課題がある?
過去の被災状況をもとに、避難所生活の課題をご紹介します。
避難所生活の課題
- ほかの被災者との距離が近く、プライバシーの確保が難しい
- 水洗トイレが使えず、排便を我慢するケースもある
- 断水により衛生環境が悪化する
- 周囲の音(いびき、子どもの鳴き声など)で睡眠が取れない
※参考:内閣府
中でも大きな課題は、プライバシー問題と断水です。
大勢の人が詰めかける避難所では、他人同士の距離が近く、プライバシーの確保が難しい状況です。女性の場合、着替えすら困難かもしれません。
さらに、断水が発生した場合、水洗トイレや蛇口が使えず、「トイレを流せない」「手や身体を洗えない」など、衛生環境の悪化も進みます。
もちろん、国や自治体は、過去の災害の教訓から対策・改善に乗り出していますが、すべての避難所に適用されているわけではありません。
あなたや家族を守るために、避難所の抱える課題を想定した備蓄をはじめましょう。
以下の記事では、避難所の実態やルールについて詳しく解説しているので、想定されるリスクをもとに防災用品の備蓄を進めてみてください。
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避難場所と避難所の違いを理解し、自宅周辺のルートを確認しよう
「避難場所」は命を守るために一時的に逃げ込む場所であり、「避難所」は安全を確保したあとに生活を送る場所です。 この違いと、「災害の種類によって逃げる場所が変わる」というルールを正しく理解していなければ、いざというときに命を守る行動はとれません。
今すぐハザードマップを開き、ご自宅周辺の危険度と、対応する避難場所へのルートを家族全員で確認してください。
ただし、避難ルートの確保だけでは、避難直後の生活を安定させられません。「避難生活とはどのようなものか」を具体的にイメージしつつ、起きるであろう問題に対処できる備えが必要です。
以下の記事では、避難生活の実態や課題を解説しているので、防災備蓄をはじめる際はぜひ参考にしてください。



