高齢者が避難所で困ることは?対策方法と必要な防災用品
地震や台風などの大災害が発生した際、高齢者が避難所でどのような困難に直面するか想像できますか。 「とりあえず避難所に行けば、誰かが助けてくれるだろう」と考えるのは大変危険です。
過去の震災でも、災害そのものの被害だけでなく、避難生活の過酷な環境が原因で健康リスクを高めるケースがありました。
この記事では、避難所で想定される高齢者の困りごとと、具体的な対策方法を詳しく解説します。高齢者に必要な防災用品、今日からできる災害への対策についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
家族の命を守るため、必要なものや配慮すべきポイントを今日から確認し、確実な備えをはじめましょう。
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高齢者避難の基礎知識

災害が発生したとき、どこへどのように逃げればよいのか、正しい避難のステップを理解しておくことが重要です。 とくに高齢者の場合、移動するたびに大きな体力を消耗するため、避難の仕組みを把握していないと無駄な負担を強いることになりかねません。
ここでは、避難先となる場所の違いや、段階的に変わる避難所の役割といった基礎知識を解説します。
避難場所と避難所の違い
避難行動の基本として、「避難場所」と「避難所」の役割の違いを必ず覚えておいてください。
避難場所・避難所の違い
- 避難場所:緊急性が高く、身の危険が迫るときに利用する(公園や高台など)
- 避難所 :安全が確保されるまで、自宅に戻れない人が滞在する(小学校や公民館など)
避難場所(指定緊急避難場所)は、津波や火災などの危険から「一時的に命を守るため」に逃げ込む広い公園や高台を指します。
一方、避難所(指定避難所)は、災害の危険が去った後に、自宅に戻れない人が「一定期間生活を送るための拠点」です。
もちろん、緊急時はどちらに避難しても、受け入れてもらえます。ただし、津波が来ているにもかかわらず、海に近い平地の避難所へ逃げ込んではいけません。
地域の防災放送、緊急速報などをもとに、正しい避難先へ移動する必要があります。
高齢者の方は、運動機能の低下により、何度も移動を繰り返す余裕がないかもしれません。 まずは「避難場所」へ逃げ、安全が確認できてから生活の場である「避難所」へ移る、という流れを頭に入れておきましょう。
避難場所と避難所の違いは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
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1次・1.5次・2次避難所の違い
災害規模が大きい場合、避難所は段階的に「1次・1.5次・2次」と移行していくことも理解しておきましょう。
1次・1.5次・2次避難所の違い
- 1次避難所 :命を守ることを優先した避難所(小中学校の体育館、公民館など)
- 1.5次避難所 :2次避難所への中継地であり、特別な配慮が必要な人向け(大規模ホールなど)
- 2次避難所 :1次避難所での生活が困難な人に向けた環境(ホテル、旅館など)
つまり、初期段階の避難では、1次避難所へ向かう必要があります。災害発生直後では、ホテルや旅館などの施設も混乱しているため、被災者としての受け入れは行われません。
高齢者の命を守るためには、行政の避難指示や案内をしっかりと聞き、適切な避難所へ移動することが大切です。
それぞれの違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
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高齢者が避難時・避難所で困ること&対策

高齢者が避難所生活を送るうえで直面する困難は、若者の想像をはるかに超えるほど多岐にわたります。 環境の変化は心身に激しいストレスを与え、放置すれば数日で健康状態が急変する恐れもあります。
ここでは、避難時や避難所で高齢者が具体的になにに困るのか、それを防ぐための実践的な対策を7つの視点から解説します。
困ること① 運動機能の低下による避難行動の遅れ
高齢者は加齢に伴って足腰の筋力が低下しやすく、災害発生時の避難行動が遅れるリスクもあります。
高齢者の避難行動の遅れとは
- 道路に散乱した瓦礫や段差を乗り越えられない
- 停電でエレベーターが止まった高層マンションから、階段を使って降りるのに苦労する
- 慌てて移動することで、転倒しやすくなる
こうしたリスクを防ぐための対策として、日頃からウォーキングなどで筋力を維持する習慣をつけることが大切です。
また、避難用のリュックのそばには、歩行を補助する折りたたみ式の杖や、ガラスの破片から足裏を守る踏み抜き防止の厚底靴(防災スリッパ)も常備しておきましょう。少しでもスムーズに歩ける物理的なサポートを用意しておくことが、素早い避難行動のポイントです。
困ること② かかりつけ医を受診できない恐れ
災害時は「医療機関の被災」「多数の患者でパンク」などにより、かかりつけ医を受診できないリスクもあります。
高血圧や糖尿病、心臓病などの慢性疾患を抱える高齢者は、毎日欠かさず薬を飲むことで健康を維持しています。 もし避難所に逃げたまま薬が切れれば、病状が悪化するかもしれません。
こうした状況を回避するため、最低でも3日分、できれば1週間分の予備薬を防災リュック・ポーチに入れておきましょう。もちろん、薬には使用期限があるため、事前にかかりつけ医・薬剤師に相談してください。
さらに、どのような薬を飲んでいるか医療従事者に正確に伝えられるよう、おくすり手帳のコピー(最新)もセットで保管しましょう。
自身の医療情報を手元に確保しておくことで、見知らぬ避難所でも適切な医療支援を受けられます。
困ること③ 情報からの孤立
スマートフォンやインターネットなど、機械類の操作が苦手な高齢者は、災害時に情報から孤立しやすい困難に直面します。
避難所では、文字情報(張り紙やホワイトボードなど)による情報伝達が行われます。しかし、災害発生直後の避難指示や災害状況などは、ラジオやネットの方が速やかです。
もし情報を自力で手に入れられなければ、「避難行動の遅れ」「自治体からのサポートを受けられない」などのトラブルを招きかねません。
ご両親や親戚が遠方に住んでいる場合は、以下の対策を行っておきましょう。
情報からの孤立を防ぐ対策
- 簡単に操作できる防災ラジオをリュックに入れておく(乾電池式のモデル)
- 自治体の災害情報が閲覧できるページをスマホにダウンロードしておく
- 災害用伝言ダイヤル(171)の使い方を練習しておく
災害発生時は、電話・ネット回線のパンクにより、連絡が取れない状況も想定されます。個人で情報をキャッチできるよう、上記のような対策を平時から行いましょう。
困ること④ 避難判断の誤り
認知機能が低下している場合、災害の危険を正しく認識できず、避難の判断を誤ってしまうリスクがあります。
テレビで避難指示が呼びかけられていても、事態の深刻さを理解できず「自分は大丈夫だ」と家にとどまってしまうかもしれません。避難経路を忘れてパニックになり、危険な方向へ歩き出してしまう恐れもあります。
判断の遅れや誤りは、そのまま逃げ遅れによる被災リスクに直結します。この事態を防ぐため、以下の対策を日頃から実践しましょう。
避難判断の誤りを防ぐ対策
- 玄関などの避難動線上に、大きな文字で書いた避難経路図を貼っておく
- 近隣住民とコミュニケーションを取り、互いに連携が取れるようにしておく
- 緊急時の連絡手段(171など)を家族間で共有しておく
災害発生時の避難は、「正しく」「速やかな行動」が重要です。ご両親や親戚が遠方に住んでいる場合、助けを求められる人とも連絡を取り、非常時の方針を決めておきましょう。
困ること⑤ 活動量の低下で起こる生活不活発病
避難所の狭いスペースにじっと座り続けることで、心身の機能が低下する「生活不活発病」も深刻な問題です。
生活不活発病とは
- 「動かない」状態が続くことで、心身の機能低下により「動けなく」なる状態
- 「歩くことが難しい」「疲れやすい」など、症状が進行する可能性もある
周囲に気を遣って動くのを遠慮したり、楽しみがなくなって無気力になったりすると、筋力が衰えます。 これを放置すると、災害前は自立して歩けていたのに、避難生活を経て動けなくなるリスクがあります。
実践できる対策も併せて見ておきましょう。
対策方法
- 動きやすいよう、避難所の個人スペースを片付ける
- 横になるより、座るように心がける
- 補助用の杖を用意しておく(すぐ車椅子を利用しないようにする)
日中はずっと横にならず、意識的に座ったり立ち上がったりする時間を設けることが重要です。 避難所内の散歩や、ラジオ体操などの軽い運動を取り入れ、血液の循環と筋肉への刺激を維持しましょう。
困ること⑥ 水分制限による脱水・エコノミークラス症候群
トイレが使えないことを理由に、意図的に水分や食事を控えると、脱水症状やエコノミークラス症候群などを引き起こす恐れがあります。
避難所であっても、断水が発生すると水洗トイレは使えません。仮設トイレの設置は、発災から3日以内が目安なため、初日から数日間は避難所の備蓄にある簡易トイレを使います。
しかし、数は限られるほか、衛生的にも使いづらいため、水を控えるケースもあります。
体内の水分量が低下すると、脱水状態に陥ったり、血栓のできやすいエコノミークラス症候群などのリスクが高まります。
こうした悪循環を断ち切るには、「家庭内でのトイレ備蓄」を充実させることが大切です。安心して用が足せるよう、自前の簡易トイレセットを作りましょう。
以下の記事では、避難所におけるトイレ問題の実態や対策方法、年齢・性別に応じた配慮について詳しく解説しています。備蓄用のトイレを充実させたい人は、ぜひ参考にしてください。
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困ること⑦ 避難所の食料が食べづらい
避難所で配給される一般的な食料は、「高齢者にとって食べづらい」というのも見落としがちな問題です。災害直後に届くのは、乾パンやおにぎり、菓子パンなど、炭水化物が中心です。
噛む力や飲み込む力(嚥下機能)が衰えている場合、食べることが苦痛になるかもしれません。食欲の低下は、健康状態の悪化にもつながります。
こうしたリスクを防ぐ対策として、「高齢者専用の非常食」の備蓄がおすすめです。レトルトのおかゆ、柔らかい介護食、そのまま飲めるゼリー飲料などを数日分用意し、安全に栄養補給ができる環境を整えましょう。
高齢者向けの非常食について、おすすめ商品や選び方を以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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高齢者が避難所で必要な防災用品リスト
一般的な避難所用の防災用品に加え、高齢者の方に必要な追加アイテムをご紹介します。
高齢者向けの防災用品
- 持病の予備薬(最低でも3日分)
- おくすり手帳のコピー(最新のもの)
- 介護用品(オムツや杖)
- 予備の老眼鏡、補聴器
- 入れ歯の洗浄剤
- レトルトのおかゆ、ゼリー飲料
- 体温調整できるもの(防寒着やカイロ、インナー類など)
高齢者が過酷な避難所生活を安全に乗り切るには、一般の防災用品に加えて、専用のケア用品が欠かせません。もしこれらを用意せず避難所へ行ってしまうと、体調の悪化に対処できないほか、心身のストレスにつながります。
こちらの記事では、一般的な防災リュックの中身をリスト形式で紹介しています。高齢者向けの各アイテムの詳細についても詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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避難所に必須!高齢者向け防災用品を選ぶポイント

高齢者向けの防災用品を備蓄する際、市販のセットをそのまま準備するだけでは危険です。体力や健康状態に合わないものを選んでしまうと、いざというときに持ち出せなかったり、使えずにパニックになったりする恐れがあります。
高齢者が無理なく安全に扱えるよう、防災用品を選ぶ際の4つの重要なポイントを見ていきましょう。
ポイント① 総重量6㎏以下になるよう調整する
高齢者の防災リュックは、「6kg以下」になるよう中身を厳選してください。
防災リュックは、「走って移動できること」が条件です。成人の基準である10〜15kgのリュックを高齢者に背負わせると、持ち出すのが困難だったり、重さでバランスを崩したり、避難行動の遅れにつながりかねません。
重い飲料水や何日分もの食料を詰め込むのではなく、まずは最初の1日を乗り切るアイテム(薬や1日分の水・食料など)に絞り込んでください。
残りの備蓄品は自宅に置き、安全が確保されてから取りに戻る形式も検討しましょう。リュックの重さを減らし、素早く安全に逃げ切る機動力を確保することが大切です。
ポイント② 非常食は飲み込みやすさ・味の好みで選ぶ
高齢者向けの非常食を選ぶ際は、「飲み込みやすさ」と「味の好み」を優先しましょう。
栄養があるからといって、普段食べ慣れない食品を備蓄しても、避難所の強いストレス下では喉を通らない恐れがあります。食事ができずに低栄養状態に陥れば、免疫力や体調不良のリスクを高めます。
喉に詰まりにくいレトルトのおかゆ、出汁の効いた和風の柔らかいお惣菜など、飲み込みやすく好みに合った美味しいものを選びましょう。
平時のうちに試食をして、「これなら美味しく食べられる」という食品を厳選しておきましょう。
ポイント③ 直感的な扱いやすさを優先する
高齢者向けの防災用品は、複雑な操作が不要で「直感的に扱えるもの」を選ぶことが重要です。
災害直後の暗闇やパニック状態の中で、説明書を読まなければ使えないような多機能ラジオやライトは役に立たないかもしれません。特に高齢者の場合、細かい文字や操作が難しい可能性もあり、避難行動を遅らせる原因にもなるでしょう。
たとえば、「ボタンが大きくて見やすいラジオ」「スイッチを点灯するシンプルなLEDランタン」などが推奨されます。
また、携帯トイレなども手順が複雑なものは避け、便器にかぶせるだけで完了するわかりやすいタイプを選びましょう。 緊急時でも迷わず使える防災用品は、パニックを防ぎ、安全確保にもつながります。
ポイント④ 体調や体質に合わせる
高齢者用の防災用品は、一人ひとりの「体調や体質」に合わせてカスタマイズする必要があります。
一般的な防災用品でも、「トイレ」「食事」「防寒」などをある程度カバーできます。しかし、体質に応じた備えがなければ、「持病の悪化」「体調不良」などに陥る恐れがあるため、備蓄のカスタマイズが欠かせません。
具体例を見ていきましょう。
カスタマイズで追加する防災用品の例
- 入れ歯の人 :入れ歯の洗浄剤
- 尿漏れが不安な人 :給水パッドやオムツ
- 冷え性な人 :使い捨てカイロや厚手のブランケット
- 飲み込む力が低下している人:ゼリー飲料やおかゆ
- 補聴器が必要な人 :予備の電池
避難所の備蓄は、食料や寝具、簡易トイレなど、必要最低限のものが基本です。医療従事者の派遣や追加の支援も行われますが、発災直後からの支援には期待できません。
そのため、体調・体質に合わせて、自宅の防災リュックをカスタマイズし、支援なしでも安全に生活できる状態を整えておきましょう。
高齢者が避難所・避難行動で困ることを解消!今日からできる災害対策

高齢者が安全に避難し、過酷な避難所生活を乗り切るには、事前の準備がすべてを決めると言っても過言ではありません。 平時だからこそ、周囲を巻き込んで確実な安全網を構築することが可能です。
ここでは、高齢者の方が避難所で困らないために、今日からすぐに取り組める4つの実践的な対策を解説します。
対策① 行政・自治体の公共サービスを理解しておく
行政・自治体では、災害に対応する公共サービスが提供されています。
公共サービスの例
- LINEを活用した、災害や避難所情報の提供
- 防災無線の戸別受信機貸与
- 自治体の見守り名簿
中でも簡単に利用できるのは、LINEを活用した災害・避難所情報の提供です。各自治体では、LINEでの情報発信が行われており、公式アカウントをフォローするだけで、「防災」「くらし」などの項目から必要な情報を得られます。
「地域の防災無線が聴こえない」「停電時は情報を得られないかもしれない」など不安のある人は、LINEから自治体のアカウントを確認しておきましょう。
対策② 遠方に住む家族との連絡手段を確認する
「両親と離れて暮らしている」「親戚が遠方に住んでいる」といった場合は、安否確認の連絡手段を事前に決めておきましょう。
大規模な災害発生時は電話回線がパンクし、通常の音声通話ができないかもしれません。連絡の取れない状況が続いた場合、家族が被災地へ向かい、被災するリスクもあります。
こうした事態を避けるため、災害用伝言ダイヤル(171)や、災害用伝言版の使い方を家族全員で共有しておきましょう。 LINEなどのSNSが使える場合は、家族のグループチャットを作っておくのも有効です。
いざというとき、どこにメッセージを残せばよいかをルール化しておくことで、離れていても速やかに安否確認できます。
対策③ 避難所や避難経路を玄関先に貼り付けておく
どんな状況でも安全に避難できるよう、避難所・避難経路の地図を玄関先に貼り付けておきましょう。
年齢を重ねると、認知機能が低下するケースもあります。「どこに」「どのように」避難すべきか判断できなければ、避難行動の遅れだけでなく、危険なエリアに足を踏み入れるかもしれません。
そのため、安全な高台や一時避難場所へのルートを、赤いペンなどで太く書き込んでください。 玄関のドアを開ける前にその地図が目に入れば、正しい方向へ避難できる可能性が高まります。
また、避難所と避難場所では役割が異なるため、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
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対策④ 高齢者向けのスマートフォンに防災アプリを入れる
ご両親や親せきが遠方に住んでいる場合、速やかに情報をキャッチできるよう、高齢者向けスマートフォンに防災アプリを入れておきましょう。
高齢者向けスマホ&防災アプリのメリット
- 操作がシンプルかつ文字が大きく、迷わず扱いやすい
- 慌てているときでも、ハザードマップや避難所情報を手に入れやすい
もちろん、ただ渡すだけではなく、使い方をあらかじめレクチャーしておきましょう。実際に練習したり、日頃からアプリを立ち上げる習慣を付けたり、非常時でも使いこなせる備えが大切です。
対策⑤ 避難指示の意味を理解する
高齢者がいるご家庭では、自治体から「警戒レベル3(高齢者等避難)」が発令された段階で避難を開始してください。
現在(2026年時点)、日本では以下のように警戒レベルが設定され、レベルに応じて適切な避難行動も定義されています。

警戒レベル4の「避難指示」が出るまで待っていると、道路が冠水したり、土砂崩れが始まったり、安全に逃げられないかもしれません。
警戒レベル3は、「避難に時間のかかる人は今すぐ逃げてください」という明確なサインです。 テレビやスマートフォンの防災アプリでこの情報が出たら、すぐに用意しておいた防災リュックを背負い、明るいうちに安全な場所へ移動しなければなりません。
早すぎる避難で空振りになっても、それは「安全確認の訓練ができた」と前向きに捉えられます。
家族間で避難指示の意味を共有し、高齢者の方が安全に避難できるよう備えましょう。
対策⑥ 「避難行動要支援者名簿」への事前登録
自力での避難が困難な高齢者の方は、お住まいの市区町村が作成している「避難行動要支援者名簿」へ事前に登録しておきましょう。
避難行動要支援者名簿とは
- 対象は自力での避難が困難な人(高齢な人、障がいのある人)
- 個人の情報をまとめ、地域の支援者に共有する
- 災害時は、安否確認や避難誘導などに役立てられる
- 平時は、見守りや防災訓練などに活用される
この名簿に登録し、情報の共有に同意しておくと、民生委員や自主防災組織などの地域の支援者に情報が共有されます。 災害が発生した際は、支援者が安否確認に訪れ、避難所までの移動を物理的にサポートしてくれる強力な制度です。
登録は自治体の窓口で簡単に行えるため、ケアマネージャーや家族と相談し、命を守るセーフティネットを平時から備えておきましょう。
直接行くのはNG?「福祉避難所」の落とし穴と対処法

高齢者や障害を持つ方のために用意される「福祉避難所」は、手厚いケアが受けられる安心の場所です。
しかし、多くの人が勘違いしている避難ルールの「落とし穴」が存在します。 正しい手順を知らずに行動すると、受け入れてもらえないかもしれません。
ここでは、福祉避難所に関するルールと、受け入れ態勢が整うまで自力で乗り切るための対処法を解説します。
要配慮者向けの「福祉避難所」には直接避難できない
高齢者などの要配慮者であっても、災害発生直後に「福祉避難所への直接避難」はできない恐れがあります。
福祉避難所とは
- 特別な支援を必要とする人(高齢者や障がいのある人、妊娠中の人など)が対象
- 一般的な避難所での生活が困難な場合に避難できる
- 保健師や市職員などが健康状態・支援状況などを調査した上で判断される
- 特別養護老人ホーム、デイサービスセンターなどが福祉避難所として指定される
福祉避難所は、あくまでも二次的な避難所であり、支援を必要とする人から優先的に案内される場所です。発災直後に向かっても、受け入れてもらえないかもしれません。
もちろん、一時的に避難する場所として提供してもらえる可能性はありますが、避難生活の拠点にはできないので注意してください。
災害発生後は、まず安全を確保できる避難場所(高台や公園など)へ移動し、自治体の指示に従って避難所へ移動するのが原則です。
避難場所・避難所の違いや役割、避難の順序については、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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避難所から福祉避難所へ移送されるまでの数日間を乗り切る
福祉避難所へ移送されるまでの間、被災者は指定避難所で待機しなければなりません。
※自宅の倒壊リスクや道路状況の悪化により帰宅できない場合
福祉避難所が利用できる人であっても、まずは保健師・市職員による確認が行われます。そのうえで、福祉避難所への移送が決定されるため、その間は避難所の備蓄、もしくは自前の備蓄で乗り切らなければなりません。
避難所には、食料や水、寝具などの備蓄がありますが、被災者の数が多ければ十分な量を提供してもらえるとは限りません。さらに、断水や停電により、一部の設備(トイレや暖房機器)が使えない恐れもあります。
最悪の状況を乗り切るには、自力で生活できる環境を整える防災用品の準備が必須です。>>高齢者が避難所で必要な防災用品リストも参考に、必要な防災用品をピックアップしましょう。
「高齢者が避難所で困ること」についてよくある質問

防災備蓄のコツは、実際の避難所生活をイメージすることです。
しかし、避難所は非常時に利用する場所であり、誰しもが経験しているわけではありません。そのため、「実際にはどんな場所なのか」「なにが必要になるのか」など、イメージが難しいでしょう。
次項では、「高齢者が避難所で困ること」について、よくある質問と回答をご紹介します。ちょっとした疑問や不安を解消し、「実際になにが必要になるのか」「どんな備えが適切か」を正しく理解しましょう。
よくある質問① 高齢者に割り当てられる避難所のスペースは?
国が各自治体に推奨している避難所のスペースは、「1人あたり最低3.5㎡(約1.9畳)以下」です。
支援の必要な高齢者の方には、「バリアフリー区画」「出入り口に近いスペース」「家族と過ごせるスペース」など、別途スペースが設けられるケースもあります。
ただし、上記はあくまでも目安であり、全国の避難所でこれだけのスペースは確保できません。過去の震災(能登半島地震)を例に挙げると、1人あたり1畳程度しか確保できなかった避難所もあるようです。
※参考:毎日新聞
実際のスペースを確認する際は、最寄りの避難所を検索して調べてみましょう。
また、避難所のスペース問題や対策方法、在宅避難については、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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よくある質問② 高齢者は避難所ならどこに避難してもいい?
年齢を問わず、災害発生時は自治体の避難指示に従って行動してください。
「とりあえず避難所に行こう」「福祉避難所なら大丈夫」などの考え方はリスクがあります。避難所は、避難生活を送ることを目的とした場所であり、緊急的な避難先ではありません。
※参考:内閣府|防災情報のページ
たとえば、津波警報が出ているにもかかわらず、海に近い平地の避難所へ移動すると、被災リスクが高まります。
まずは状況に応じた適切な避難場所へと移動し、安全を確保することが重要です。
避難場所と避難所の違い、逃げる順序については、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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よくある質問③ 高齢者が避難所での熱中症を防ぐには?
高齢者の方は、軽量な熱中症対策グッズを防災リュックに入れて備えましょう。
おすすめの熱中症対策グッズ
- 冷却ポンチョ:水に濡らして被ると、肌表面の温度を下げてくれる
- 冷却タオル :水に濡らし、首に巻いて体温の上昇を防ぐ
- 冷却材 :商品本体を叩くと、内部の薬剤が科学反応を起こして冷たくなる
これらはコンパクトに収納できるほか、どれも軽量なので、防災リュックに入れても負担になりません。ポンチョやタオルは、少量の水があれば体温の上昇を抑えられるため、停電時の避難所でも活躍してくれるでしょう。
もちろん、熱中症対策において重要なのは、暑い場所に出ないことです。エアコンが使えない環境では、日陰に移動して体温を上げないよう注意してください。
また、おすすめの暑さ対策グッズや選び方については、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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高齢者のリアルな困りごとを想定し専用の防災リュックを作ろう
高齢者は若者とは全く違う「命に直結する弱点」を抱えています。
持病の悪化や運動機能の低下、避難所での過酷な環境など、リアルな困りごとを想定した専用の防災グッズを平常時から準備しておくことが、災害を生き抜く条件です。
足腰の負担を減らす軽量なリュックに、お薬手帳のコピーや柔らかい非常食、体を守るエアーマットなどを詰め込み、世界に一つだけの頼れる備えを完成させてください。
しかし、防災リュックの準備には、手間と時間、お金もかかります。正しい知識がなければ、不要な防災用品を購入しかねません。
こちらの記事では、防災リュックの中身をリスト形式で紹介しています。年齢別に追加する防災用品も解説しているので、ぜひ参考にしてください。



