1.5次避難所とは?避難生活の現実から逆算する「防災備蓄」の始め方
災害大国である日本において、避難所の環境改善は急務の課題です。
大きな災害が発生したとき、私たちが最初に身を寄せるのは体育館のような1次避難所ですが、そこでの生活には限界があります。そこで注目されているのが「1.5次避難所」という考え方です。
本記事では、1.5次避難所の役割、1・2次避難所との違いについて解説します。さらに、1.5次避難所を想定した備蓄のポイントや保管方法なども解説するので、これから防災備蓄を始める人はぜひ参考にしてください。
正しい知識を持ち、今の生活から備えを始めることが、未来の安心につながります。
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1.5次避難所とは?避難のフェーズと役割を理解する

災害発生後の避難行動には段階的なフェーズがあり、被災者は自治体の防災マニュアルやガイドラインに沿って行動します。
一般家庭の備蓄では、避難フェーズを想定した物資(非常食や生活用品など)を備えることで、あなたや家族が生活に困らない環境を整えられます。
次項では、1.5次避難所の意味や、1次・1.5次・2次避難所の違いについて解説するので、防災備蓄を始める際の参考としてください。
1.5次避難所は「2次避難所へのつなぎ」
1.5次避難所とは、1次避難所と2次避難所の中間に位置する避難先を指します。
1.5次避難所とは?
- 2次避難所へ移動するための中継地点
- 主な役割は、被災者の健康状態や年齢をチェックして、適切な2次避難所とのマッチングを行う
災害直後の一次避難所(指定避難所)は、プライバシーの欠如や衛生環境の悪化など、過酷な環境になりがちです。被災者が安定した生活を取り戻すまでの居住場所としては不適切なため、被災から数日~数週間後には2次避難所への移動が呼びかけられます。
しかし、どの2次避難所も同様の設備や受け入れ態勢が整っているわけではないため、体調や年齢に応じた環境をマッチングしなければなりません。
そのため、1次と2次の間に1.5次避難所を設け、被災者のチェックを行うための中継地点として活用されます。
1.5次避難所の提供について
すべての自治体で同様の対応(1.5次避難所の提供)が行われるとは限りません。自治体の防災ガイドラインやマニュアルによって対応に差があるため、あくまでも知識として「1.5次避難所があること」を頭に入れておいてください。
※1.5次避難所の運用実績があるのは、石川県の能登半島地震です。
※参考:石川県商工労働部企画調整室
1次・1.5次・2次避難所の違い
1次・1.5次・2次避難所について、役割や提供される場所の違いを見ていきましょう。
| 項目 | 1次避難所 | 1.5次避難所 | 2次避難所 |
| 役割 | ・命を守ること ・一時的な生活 | ・1次避難所の環境改善 ・2次避難所への中継 | ・落ち着いた環境の提供 |
| 対象者 | ・被災者全員 | ・適切な支援が必要な人 | ・1次避難所での生活が困難な人 |
| 場所の例 | ・小中学校の体育館 ・公民館 ※主に公共施設 | ・スポーツセンター ・大規模ホール など | ・ホテル ・旅館 など |
1次避難所は、地震や津波などの災害発生時、命を守ることを優先した避難先です。体育館や公民館など、公共施設が利用されます。
一方、2次避難所は、高齢者の人や持病を持つ人など「適切な支援を必要とする人」もしくは「1次避難所での生活が困難と判断された人」に提供される場所です。
1.5次避難所は、1次と2次の中継地点のような役割があり、個人の状態をチェックして、適切な2次避難所へマッチングさせる役割があります。
1.5次避難所を想定した備蓄のポイント

次項では、2024年に発生した能登半島地震の事例をもとに、1.5次避難所の利用を想定した備蓄のポイントを解説します。
支援状況や課題など、自治体や公的機関の資料をもとに解説するので、これから備蓄を始める際はぜひ参考にしてください。
※参考
・公益社団法人 日本栄養士会|災害時の栄養・食生活支援ガイド
・内閣府|令和6年能登半島地震における避難所運営の状況
ポイント① 年齢・性別・体質に応じた備蓄
1.5次避難所を想定する場合、年齢・性別・体質に応じた以下の防災用品を備蓄しましょう。
年齢・性別・体質に応じた備蓄
- 女性の場合は生理用品を備蓄(最低1周期分)
- アレルギー体質の人は、アレルギー対応の非常食(特定原材料等28品目不使用など)
- 高齢者の人は、おくすり手帳や専用の非常食(アルファ米のおかゆなど)
- 子どもの場合は食べ慣れたお菓子、非常食のおかず
- 栄養の偏りを考慮した、バランスの良い非常食
能登半島地震の際は、1.5次避難所における高齢者の割合が高く、食物アレルギーや慢性疾患等のチェックが行われました。食事については、炊き出しや弁当の配給なども行われたようです。
しかし、施設によっては調理環境が不十分で、温かい食事の提供が難しいケースもあります。「栄養の偏り」「アレルギーに配慮した食事の不足」などが懸念されるため、備蓄の際は体質・体調への配慮がかかせません。
特に子どもの場合、災害後のストレスで食欲が低下する恐れもあるので、食べ慣れた食事の備蓄も進めましょう。
また、昨今では女性への配慮として、生理用品などの備蓄も進められていますが、十分な数が配給されるとは限りません。被災者の数が多ければ不足する可能性もあるため、必ず防災リュックなどへ必要量を備蓄しましょう。
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ポイント② 生活用品・衛生用品の確保
1.5次避難所の利用を想定する場合、以下の生活用品・衛生用品を備蓄しておきましょう。
生活用品・衛生用品の備蓄
- 替えの下着や衣類
- タオル類
- マスク
- ウェットティッシュ/シート
- 持病の予備薬
- スリッパ
- 歯ブラシセット
1.5次避難所では、施設内に設置されたテントでの生活も想定されます。入浴支援を受けられる可能性もありますが、タオルや着替えまで自治体で用意されるとは限りません。
さらに、不特定多数の人が生活する避難所内は、感染症のリスクもあります。マスクや持病の予備薬なども持参して、症状が悪化しないよう気を配りましょう。
ポイント③ 子どものストレスケア用アイテム
災害発生時は、子どもの精神状態が不安定になる恐れもあるため、以下のアイテムの備蓄も進めましょう。
子どものストレスケア用アイテム
- 普段から使っているおもちゃ、遊び道具
- 好みのお菓子、ジュース
- お気に入りの服やタオル
子どものストレスケアには、「日常を取り戻すこと」が大切です。普段から使っているタオルやおもちゃ、お気に入りのお菓子など、日常に近い環境を用意することで、不安を解消しやすくなります。
※参考:日本ユニセフ協会
ただし、食料品は賞味期限切れのリスクがあるため、次項で解説する適切な保管方法も頭に入れておきましょう。
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1.5次避難所で活用する備蓄食料の保管方法(ローリングストック)

ローリングストックとは、普段食べている食品を少し多めに買い、古いものから消費して、使った分を買い足す管理方法です。
ローリングストックのメリット
- 食べ慣れた食料品を非常時にも食べられる
- 備蓄食料の賞味期限切れを防ぎ、フードロスを発生させない
- 防災への意識を維持し、他の防災用品のメンテナンスにもつながる
防災専用の非常食は、賞味期限が切れるまで放置されがちで、いざというときに期限切れで食べられないリスクがあります。
また、災害時はストレスにより食欲が低下し、食べ慣れない非常食や配給される食料に手が付けられない可能性もあります。
しかし、ローリングストックを活用した管理方法であれば、普段から食べている食事を、そのまま非常時にも食べられます。賞味期限切れを起こすリスクも抑えられ、無駄なく備蓄を続けられるでしょう。
「防災のために特別なことをする」のではなく、「日常の延長線上で備える」という意識に変えることが、備蓄継続のコツです。今日スーパーに行ったとき、いつもの食材を1つ多くカゴに入れることから始めてみましょう。
収納不足でも大丈夫!場所を取らない備蓄の収納アイデア

防災備蓄は、世帯人数分の非常食や生活用品を収納しなければならないため、スペースが不足しがちです。
しかし、「収納スペースを広げる」「備蓄品を絞る」など特別なことをしなくても、コツさえ知っていれば備蓄品は収納できます。
次項では、場所を取らない備蓄の収納アイデアを解説するので、ご自宅の収納と照らし合わせつつ参考にしてみてください。
アイデア① 「分散備蓄」のすすめ
自宅の備蓄品は各部屋・スペースに分散備蓄すると、収納の圧迫を防げるほか、防災の観点からもメリットがあります。
分散備蓄のメリット
- 備蓄品を分散させることで、備蓄品が被災するリスクを抑えられる
- 家族全員が、どこにいても備蓄品を取り出しやすい
- 収納スペースが限られる自宅でも、家族分の備蓄品を収納しやすい
備蓄品を一箇所にまとめて保管すると、地震や津波発生時に「家具が倒れて取り出せない」「浸水して使えない」などのリスクがあります。
そのため、ベッドの下やクローゼットの隙間、玄関横の棚など、ちょっとしたスペースを活用して備蓄品を保管しましょう。
分散備蓄であれば、狭い部屋でも場所を取らず、どこかが被災しても別の場所の備蓄が無事である可能性が高まります。
「収納スペースは日用品や家電製品で埋まっている」「自宅が狭くて収納できない」などの人は、分散備蓄で災害への備えを整えてみてください。
アイデア② 「インテリア」として見せる収納術
備蓄品を「隠す」のではなく、「見せる」収納にすることで、収納スペースの圧迫を防げます。
近年、防災意識への高まりから、備蓄用の収納ボックスは「インテリアへの馴染みやすさ」も考慮されてきました。パントリーやガレージなど、収納の奥に隠すのではなく、家具やインテリアの一部として部屋の中に備蓄品を置いて管理できます。
たとえば、岩谷マテリアルの「グリッドコンテナ」は、デザインがシンプルなほか、カラーバリエーションも豊富なので、自宅の家具・インテリアに合わせやすい収納ボックスです。
ほかにも、「おしゃれな防災ラジオ」「オットマンになる収納ボックス」など、多種多用な防災用品が展開されています。ご自宅の家具・インテリアをイメージしつつ、見せる収納で防災用品の備蓄を始めてみましょう。
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アイデア③ フェーズフリーで日常と防災を融合させる
「フェーズフリー」とは、平常時と非常時の境界をなくす考え方です。
これまでは「防災専用」のアイテムをそろえるのが一般的でしたが、場所を取るほか、どれも割高なのでコストもかかります。なにより、普段使わないものは災害時に使い方が分からず、有効活用できない可能性もあります。
しかし、日常的に扱っているものを、非常時にも活用できれば、無駄なコストを発生させず、あえて収納する必要もありません。
たとえば、キャンプ用品として販売される、ポータブル電源やLEDランタン、寝袋などは、普段のレジャーで使い慣れていれば、災害時でも迷わず扱えます。
前述したローリングストックと併せて活用し、あなたや家族を災害から守る強固な備えを完成させましょう。
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まずは1・1.5次避難所を考えた防災備蓄を始めよう
家庭の防災備蓄では、まず「命を守る避難」を想定しなければなりません。「走って逃げられる」「被災当日を乗り切る」ことを想定した備蓄です。
最低限の食料・水・生活用品・衛生用品を防災リュックに入れ、玄関付近に保管しましょう。
そして、家族に子どもや高齢者、持病を持つ人など、なんらかのケアが必要な場合は、1.5次避難所への移動も想定した備蓄が必要です。
前述した、>>1.5次避難所を想定した備蓄のポイントも参考に、防災リュックや自宅の備蓄用収納ボックスなどへ防災用品を詰め込みましょう。
「どんな避難グッズが必要かわからない」「まずは基本の備蓄を知りたい」といった人は、以下の記事も参考にしてください。必要な避難グッズをリスト形式で紹介しているほか、備蓄のステップも解説しています。


